バイトの労働条件

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柳内伸作  『世界リンチ残酷史』  の読書感想。

柳内伸作  『世界リンチ残酷史』  河出文庫ショッキングな題名であるが、いたって真剣に書かれた奇書。  権力を持つ体制による制裁を「処刑」と呼び、復讐とも仇討ちとも言い換えれる私的制裁を「リンチ」と呼ぶ。私は忠臣蔵を始めとした時代小説による敵討ち・仇討ちモノを好んで読むのだが、これは人間本来が持つ、いたって健全な自然発生心理の帰結だと思う。近来の無差別博愛精神によって、罪なき幼い命をいたぶり殺して...

最近読んだ本の感想。その3

●本体HP更新しました。立木信  『若者を喰い物にし続ける社会』  洋泉社新書http://www16.tok2.com/home/randokudt/doku12/doku241.html鷺沢萌  「失恋」  新潮文庫http://www16.tok2.com/home/randokudt/doku12/doku242.html荒俣宏  「図像探偵」  光文社文庫http://www16.tok2.com/home/randokudt/doku12/doku243.html岡部昌幸  「迷宮の美術史 名画贋作」  青春新書http://www16.tok2.com/home/randokudt/doku...

山田風太郎 『不知火軍記』 の読書感想。

山田風太郎  『不知火軍記』  集英社文庫風太郎初期の中篇3篇。島原の乱稗史を描いた表題作ほか、大内氏から下克上した陶晴堅と毛利元就の間を暗躍した妖僧を描いた「盲僧秘帖」、秀吉亡きあと豊家子飼いの武将が次々と変死してゆく謎を描いた「幻妖桐の葉おとし」。  こうやって粗筋を書いてみると面白いなぁ(と思うのは私だけ?)。ところが風太郎の初期作品という事もあるし、長編向きのアイデアてんこ盛りストーリーを...

筒井康隆  『懲戒の部屋』  の読書感想。

筒井康隆  『懲戒の部屋』  新潮文庫自薦ホラー傑作集と銘打った第1巻。虫唾が走るとは、こういうことか。  無性にイライラした一冊だった。根本的に肌に合わないと云うか、ムカムカすると云おうか、生理的に受け付けない掌編がほとんど。こういう風に書くと、かえって冒険心を抱く人も出てくるんだろうケド、読めば成る程、と御同意いただけると思う。  初っ端(しょっぱな)の「乗越駅の刑罰」は、ほんと気持ち悪い。不...

藤沢周平 『消えた女』 の読書感想。

藤沢周平  『消えた女』  新潮文庫読書と云うのは読めば読むほど果てしなく広がるもので、読みたい作家や作品がどんどん膨らんでいく。だから大好きな作家もどんどん増えていって、読みたいのに読む順番が間遠くなっていく。  そんな残念な作家の一人が今回の藤沢周平。前回読んだのが半年ほど前の「たそがれ清兵衛」  「たそがれ清兵衛」の感想はコチラ。http://www16.tok2.com/home/randokudt/doku3/doku53.htmlあんなに...

保坂正康  『天皇が十九人いた』  の読書感想。

保坂正康  『天皇が十九人いた』  角川文庫前々から読みたいと思っていた作家・保坂正康。医療問題や昭和をブッタ斬る書名は、どことなく難しそうで堅苦しそう。  しかし、明治時代に興味を持つと、昭和という時代も歴史的に検証したものが読みたくなった。そこへこの「天皇が十九人いた」という好奇心溢れるタイトル。う~ん、なになに?  読んでみたら「あぁ、あの話かぁ」とは思ったけど、詳しい事までは知らなかったの...

戸部新十郎  『侠客』  の読書感想。

戸部新十郎  『侠客』  廣済堂文庫むかしは本屋でも暫し見かけた戸部新十郎。最近はトンと見かけない。埼玉の今は無き古本屋で2年ほど前に買い求めたのが本書。  私は1冊読み終わったら嬉しくなっちゃって5冊は買っちゃう性質。本を読むのは勿論だが、本を探したり買ったりするのこそ、より好きなのかも。昨日も3つの古本屋で併せて7冊買ったんだよ。  さて、時代小説を楽しんでいるとよく出てくるのが、街のゴロツキ...

白石一文  『不自由な心』 の読書感想。

白石一文  『不自由な心』  角川文庫今年上半期読んだ作品の中で、最高に感動したのが本書。  歴史小説家として名高い「白石一郎」氏の長男という、不純な好奇心で本書に手を出した。「親っさんはいい物書きだったけど、あんさんはどやろなぁ?」なんて高をくくって読み始めたんですが、おっそろしいほどの強烈才能です。  5つの中短編からなる本書ですが、著者が仰るように最初から順に読んで行きます。各編の関連性は無...

池波正太郎  『鬼平犯科帖5』 の読書感想。

池波正太郎  『鬼平犯科帖5』  文春文庫これほど盗賊を味わい深く描き出す作家はいないでしょう。なんだか鬼平を読んでいると、「おつとめ稼業(泥棒の事)」も素敵に思えてくる。本編も第5集となり、ますます鬼平の剣が光る。  現代では戸建住宅なんて、大体の間取りが決まっていて、どこの家でも大方の想像がつく。これはプレハブ住宅という、企画商品が大量生産されていることもあるし、住宅工法上どこに台所・便所・リ...

佐木隆三  『伊藤博文と安重根』 の読書感想。

佐木隆三  『伊藤博文と安重根』  文春文庫気になっていたノンフィクション作家佐木隆三を読む。小学生時代に読み始めた三国志や新平家物語などから、戦国時代もの、昨今の江戸時代モノを読んできて、明治時代以降の歴史を舞台とした書物の割合が随分少ない事が不満だ。  これには戦争問題や現代の現役政治家のお爺様あたりへの批判告発などへ連なってくるから、地雷だらけの歴史を描くのが億劫なのだろう。そんな状況下、こ...

トムスン  『ヴァーチャル・ガール』 の読書感想。

トムスン  『ヴァーチャル・ガール』  ハヤカワ文庫小中学生のころ、星新一と眉村卓を狂ったように読んでた時期があった。  どちらも共通している形態が、ショート・ショートでありSFであること。  ショート・ショートは読みやすく、それはSFである。だからSFとは面白くて読みやすいモノが好き、という流れが出来てしまった。本格的な文体で迫る、正統派SFである、海外SFは「ムズカシソウ」な気がしてた。敬遠し...

南條範夫  『孤剣二十六万石』(上下) の読書感想。

南條範夫  『孤剣二十六万石』(上下)  徳間文庫私のライフ・ワーク、南條範夫です。小学生の時、同著の「桔梗の旗風」(明智光秀を描いた作品)で目覚めて以来幾年月。南條だけを読んで来たわけではありませんが、この4~5年は同氏の全著作を収集中という入れ込みよう。南條範夫をこれほど偏愛している読書人は私だけでしょうが、それがまた誇らしい。あと、海音寺潮五郎と山田風太郎に対しても同じような事をしてますので...

H・ジェイムス  『ねじの回転』 の読書感想。

H・ジェイムス  『ねじの回転』  新潮文庫クラシック&オペラ・ファンにはお馴染みの「スクリュウ」。1年ほど昔、クラシック系メルマガの読者さんからお薦め頂いた一書を、ようやく手に取る事が出来ました。  私は読書が趣味なんですけど、残念ながら本を買う事の方がもっと好き。  一冊読んだら五冊は買っちゃう性質なんです。だから現在のストック本は三百冊を軽く越えてると思う。  人が或る一冊を敢えて推薦するに...

森岡浩  『名字の謎』 の読書感想。

森岡浩  『名字の謎』  新潮OH!文庫中学生の頃、歴史好きの私は自分の祖先が何だったのか、非常に興味を持った。関西方面の僻地で農家を江戸時代はやっていたのだが、戦国時代までは地侍をしていたそうな。砦みたいなシロモノに住んでいた名残が今の苗字なんだろうが、どうせならもっと格好いい城名にして欲しかった。白鷺城(姫路城)だったら白鷺(しらさぎ)さんだし、青葉城(仙台城)だったら青葉さんだったろうに.....

早乙女貢 他  『新大逆転の日本史』 の読書感想。

早乙女貢 他  『新大逆転の日本史』  知的生きかた文庫早乙女貢とは渋いところを突いておりますが、本書は全16編・全16名による連作「歴史イフ短編集」。  早乙女貢は、信長が天下を統一していたらその後の世界はどうなっていたかを描いているし、今話題の義経が確実に頼朝を倒せる秘策を持っていたと検証する角田文衛。イフ歴史モノの代表的作家檜山良昭は信長が桶狭間で早々に敗北していたらを描いているし、童門冬二...

東直巳  『札幌刑務所4泊5日』 の読書感想。

東直巳  『札幌刑務所4泊5日』  光文社文庫東直巳は昨年知りまして、これが4冊目の読書なんですが、本書は著者不遇の時期に書かれた模様。俗に云う「しがないライター」時代に、ネタになる事だったらなんでもする、みたいな勢いで刑務所突撃レポートが本書。  私の読む前の想像では、言われも無い冤罪で刑務所(もしくは留置所)にブチコマレタのが「4泊5日」。ところがそうではなく、原チャリで制限速度オーバーになっ...

村山由佳  『天使の卵』 の読書感想。

村山由佳  『天使の卵』  集英社文庫   これは猛烈に感動した。  正統派のコテコテの純愛純文学なのだが、衝撃的なラストや丹念な心情の描出など、第六回小説すばる新人賞に相応しい作品。純愛小説を存分に堪能したい人には、持って来いの逸品。父親が精神を病んでいる美大志望の浪人生が、主人公。満員電車(西武池袋線!)で運命的に出会った女性と、再び運命的に巡り合うなど、偶然の偶然は恋愛小説にはつきモノだが、...

稲垣史生  『お家騒動』

稲垣史生  『お家騒動』  文春文庫      拙者、お家騒動モノに目が無い。他家のてんやわんやが大好きなのである。  有名な黒田騒動・伊達騒動・加賀騒動なんてもう厭きた。もっともっと刺激的な、見知らぬ町のドロドロした「お話」が読みたい。  そんな熱い期待を抱いて、本書を読み進めた。  江戸期の有名どころは全て抑え、正義の「お為方」と悪漢の「逆意方」は見方次第でどうにでも変わる、という事を伝えてい...

平岩弓枝  『御宿かわせみ6』 の読書感想。

平岩弓枝  『御宿かわせみ6』  文春文庫シリーズもの第6巻です。  現在、私はこの「御宿かわせみ」シリーズと、「鬼平犯科帳」シリーズを同時並行。「鬼平」は第1巻から文句なしの面白さですが、この「かわせみ」は少しづつ面白くなってきている。当初の数冊は余りの退屈さにどうしてこれが大長編に伸し上がっているの?と不思議だった。しかしまぁ、よくぞこの第6巻まで読み進めたもの、と忍耐が大きな実を結び始めた感...

P・ハイスミス  『11の物語』 の読書感想。

P・ハイスミス  『11の物語』  ハヤカワ文庫今年になってから海外作品にもチャレンジするようになったのですが、こうやって当たりを引くと海外作品もいいねぇと嬉しくなっちまう。  海外作品と云うとこねくり捻くりした小難しい「訳」が厄介なんだけど、この訳はなかなか良かった。子供の頃、世界名作百選とかで、「車輪の下」とか「罪と罰」なんかを読みましたけど、そういえば古くっさい訳だったもんなぁ。  表紙に「...
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