バイトの労働条件

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徳永真一郎  『影の大老』(上下) の読書感想。

徳永真一郎  『影の大老』(上下)  光文社文庫長野主膳を主人公にした、幕末を井伊家からみた長編時代小説。著者は近江(滋賀県)に縁ある人のため、近江に随分肩入れした内容になってしまっているのだが、私も近江に縁があるのでこの辺はちっとも気にならなかった。いいぞ!近江!って感じ。幕末維新モノとしては、どうしても西郷や竜馬など、変革者たちからの熱いストーリーが持て囃されるが、老木の倒るるを存続させるパワ...

森薫  『エマ』  の読書感想。

森薫  『エマ』  ビームコミックス (※2005年10月に書いたモノです。)アキバのメイド喫茶が変な風に流行ってしまっているので、書店でこの本を買い辛かった。でも、気になっていた。そんなある日、ブックオフで同著の「シャーリー」という漫画短編集があったのでパラパラと読んで見たのだが、これが面白い。もの凄い感動とか、圧倒的なストーリー展開というわけでも無いんだけど、ほんわか・じんわりくる話ばかりで、...

奥田英朗  『邪魔』(上下)  の読書感想。

  奥田英朗  『邪魔』(上下)  講談社文庫最近の新進作家ってホント面白くなっている。むかし自分が漠然とこんな面白い本があったらなと、もやもやしていた以上のクゾ面白い本が次々と現れている。若者に限らず、多くの人の活字離れが叫ばれて久しいが、才能ある作家がコンコンと沸きいずるのはナゼ?  今回の奥田英朗もそんな一人、と十把一絡げに纏めちゃうのは飛んでもないくらい突出した作家だった。今後この人の作品...

海音寺潮五郎  『おどんな日本一』  の読書感想。

海音寺潮五郎  『おどんな日本一』  新潮文庫タイ捨流って、ご存知ですか?剣豪小説を読んでると、示現流のからみでよく出てきます。本書では、その「タイ捨流」流祖、と云っても限りなく流祖だけで消えてしまったんですが、丸目蔵人が主人公です。宮本武蔵や柳生十兵衛といった花型剣士もいいけど、こいった実力はあったのに運に恵まれずに消えかかっている人物伝を読むのが大好きです。また、こういった埋もれた人物を面白く...

山本文緒  『絶対泣かない』  の読書感想。

山本文緒  『絶対泣かない』  角川文庫二百ページほどの分量に、15の物語が詰まった好著。  「フラワー・デザイナー」「体育教師」「デパート店員」「漫画家」「営業部員」「専業主婦」「派遣」「女優」「タイムキーパー」「銀行員」「水泳インストラクター」「秘書」「養護教諭」「エステティシャン」  よくもまぁこれだけバラバラな設定で、多種多様な物語が続くものだと感心する。それでいて女性の悩みや人生が垣間見...

ブラッドベリ  『火星年代記』  の読書感想。

ブラッドベリ  『火星年代記』  ハヤカワ文庫SFも名作と云われているものを系統的に読んでみようと思ってます。本書は26編の連作短編集みたいなものなので、丁度いいかなと読み始めました、が!「SF史上に輝く永遠の記念塔!」なんてブチ上げられてますが、正直ツマラヌカッタ。いろんな有名人が、ブラッドベリは凄い、と書いてるんで安心して読み始めたんですが、どこがいいのだろう?戦後間も無い頃に書かれた様なので...

池波正太郎  『鬼平犯科帖6』  読書感想。

池波正太郎  『鬼平犯科帖6』  文春文庫「礼金二百両」「猫じゃらしの女」「剣客」「狐火」「大川の隠居」「盗賊人相書」「のっそり医者」7七篇。  ブックカバーには「いよいよ脂の乗った」などと書かれているが、ちと中だるみかなと思った本書。  7編の中で特に気に入ったのは「大川の隠居」。風邪で寝込んでいる鬼平の屋敷へちょいと悪さをしでかす元盗人。そんなコソ泥にキツーイお灸を据える平蔵の機知が格好良い。...

貫井徳郎  『崩れる』  の読書感想。

貫井徳郎  『崩れる』  集英社文庫副題が「結婚にまつわる八つの風景」。ミステリなわけですから、当然幸せな結婚生活なんか描かれていない。どれもこれもが、ちょっとした発端が綻んでいったり、どうにもならない日常が破綻していったりと、他人事だから楽しんで読める。  表題作の「崩れる」はパート主婦が主人公。画家志望の男と結婚するが、現実の世界が厳しいのに関わらず夫はプライドだけ高くいつしかヒモのようなだら...

京極夏彦  『嗤う伊右衛門』  の読書感想。

京極夏彦  『嗤う伊右衛門』  角川文庫唐沢寿明と小雪の共演で随分話題になりましたよね?え、そうじゃない?京極夏彦自体が有名だって?ワタクシ初めての京極読本なんですが、多分もう読まんと思う。これだけベストセラーになっただけあって、そこそこ読ませはするんだが、傑作とは程遠いんじゃ無いでしょうか。この本が無名だったら、無名ってのは残念だなと思うかもしれないけど、それほど話題になるほどでも無いんじゃ無い...

直木三十五  『仇討二十一話』  の読書感想。

直木三十五  『仇討二十一話』  講談社大衆文学館直木賞って有名なだけに、一度はその直木さんの文章が読んでみたいと思っていた私。みなさんもそんな気持ち、少しは無いですか?天下の直木賞になったほどの張本人なる小説なわけですから、さぞかし面白いんだろうな、と読み始めました。  しっかし、つまんねぇ。詰まらんのですよ。全編。  表題のとおり、仇討の小説が二十一話も並んでるのですが、どれも文体が古臭く、そ...

サガン  『ブラームスはお好き』  の読書感想。

サガン  『ブラームスはお好き』  新潮文庫クラシックが好きな人はおろか、ブラームスが好きな人でも、この本を読んだ事がある人は意外にいまい。かくいう私もブラームスは聴くんですが読んだ事はなかった。なんとなくブラームスとは関係ない内容のような予感はしていたが、思い切って読んでみるか!と読み始めた。百七十余ページという短さも魅力。  さて、まずブラームスについてですが、これはほんのツマミとしてしか出て...

岩井志麻子  『ぼっけえ、きょうてい』  の読書感想。

岩井志麻子  『ぼっけえ、きょうてい』  角川ホラー文庫ショッキングな表紙に惹かれて購入。甲斐庄楠音の「横櫛」という日本画なのだが、日本髪の青白い顔の女が怖い。本書は表題作が四十ページ余りと意外に短いが、岡山弁で語られる話が予想外に怖い。最初は読みづらいのだが、数ページも読めば読みづらさより面白さが打ち勝つ。他にも五十ページ前後の恐怖短編集なのだが、どれも怖いけど面白い。読後早速、著者の別の一冊を...

隆慶一郎  『花と火の帝』(上下)  の読書感想。

隆慶一郎  『花と火の帝』(上下)  講談社文庫以前、「捨て童子・松平忠輝」を読んだんだが、中巻ぐらいから読むのがつらくなった。性に合わないのだ。主人公松平忠輝(家康第六男)は天才、天賦の力と努力によってスーパーマンのように成長してゆく。それでいて日本を内乱にしないため兄(徳川秀忠)との葛藤を我慢して、飄々と流刑されてゆく。  そんな馬鹿な!  本当に力があるのなら、兄を倒し将軍になれば良かったじ...

大崎善生  『パイロットフィッシュ』  の読書感想。

大崎善生  『パイロットフィッシュ』  角川文庫2001年に単行本化された、純文学な恋愛小説。いつもいつも時代の流れに逆らったような読書をしてるんで、たまにはハヤリの本も読んでみようと採り上げた。どういうのが吉川英治文学新人賞になるのかも興味あったし。感想としては、まぁまぁかな。こういったものの粗筋を書くと、実につまんなく映ってしまうのだが、中年の雑誌編集者の大学時代の恋人と再会する経緯が話の中心...

新潮社事件取材班  『黒のトリビア』  の読書感想。

新潮社事件取材班  『黒のトリビア』  新潮文庫日本犯罪に関する「へぇ」な記事111本。1ページ使ってトリビアな見出し、次の1ページを使ってそのトリビアを解説するといった趣向のため、サクサク読める。遅読な私でも1時間ほどで読めたけど、暇つぶし本かなぁ。面白かったのを挙げてみると、・警視庁には「ケイシチョウ」という階級がある・死体は顎から固まる  ・判決の最初に裁判官が「被告人は・・・」と「は」から...

中嶋繁雄  『閨閥の日本史』  の読書感想。

中嶋繁雄  『閨閥の日本史』  文春新書歴史に関わる婚姻・姻戚関係は極めて重要だ。特に日本では血筋が、現代の我々が思う以上に貴ばれ、たいして実力も無い人物が棟梁に祭り上げられたり、遠い縁戚だと云うだけで取り立てられたりと、可笑しな現象が堂々と罷り通っている。いろいろな歴史・時代小説を読むにつけ、作者がどんな歴史観を抱いているのか、その違いを大きく感じるのだが、我が愛する南條範夫などはこの「閨閥」が...

許光俊  『世界最高のクラシック』  の読書感想。

許光俊  『世界最高のクラシック』  光文社新書久々に採り上げまする「クラシック系書籍」。最近元気のいい光文社新書より出ている、許さんの本。この人の文を読むとホント感化されてしまうのですが、ペンの持つ力って大きいわ。さすが、慶大助教授。私の拙文では、どうにもこうにも音楽シーンは全く変わらないのですが、この人の文を読んでいると不思議に聴きたくなってくるんだから、凄い力だ。おそらくこの人が音楽評論界に...

高島俊男  『本が好き、悪口言うのはもっと好き』  の読書感想。

高島俊男  『本が好き、悪口言うのはもっと好き』  文春文庫週刊文春の「お言葉ですが...」で有名な激辛批評家。著者は中国文学が専門で、漢字がらみの小言が多いのも特徴。本書では・漢字がらみの批判・新聞批判・書評十番・支那は悪い言葉だろうか・随筆・狩野亨吉   (以上、私が大まかに概略化しました)著者が週刊文春で有名になるまでの雑多なところで書き散らした文章をセレクトしたものです。章ごとにその性格や...

平岩弓枝  『御宿かわせみ7』  の読書感想。

平岩弓枝  『御宿かわせみ7』  文春文庫副題「酸漿は殺しの口笛」と申しますが、酸漿とは「ほおずき」と読みます。ほおずきは、あの紅い提灯みたいな植物ですね。これを口の中に入れて、皮袋に空気を入れて潰すと「きゅう」と鳴る、そうです。いろんな小説にこの話がノスタルジックに出てくるのですが、私はこんな経験が無い。寂しいことです。  本書は「春色大川端」「酸漿は殺しの口笛」「玉菊燈籠の女」「能役者、清太夫...

宮部みゆき  『蒲生邸事件』  の読書感想。

宮部みゆき  『蒲生邸事件』  文春文庫678ページに及ぶ長編パラレルワールド・ミステリー。日本SF大賞受賞。私の宮部読書は8冊目となるんですが、相当苦痛な一冊だった。まず、長い。内容的にも半分に集約できそうなシロモノ。そしてミステリとしては致命的な、ハラハラ・ドキドキ感が微量。前半の浪人生が火事に合って時空を飛んで、二・二六事件真っ只中の蒲生邸でアタフタするあたりまでは読ませるんだが、蒲生大将が...
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