バイトの労働条件

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筒井康隆  『短篇小説講義』  の読書感想。

筒井康隆  『短篇小説講義』  岩波新書こういう本があることを、ご存知だろうか。1990年初版だから若い人は知らないかもしれないし、私の時代になると「文学部唯野教授」を思い出す人もいるかもしれない。ノリはそれに似ており、アカデミックでありながら知的好奇心がどんどん満たされて、それでいて紹介本への好奇心が高まっていく。あいかわらず筒井康隆はこういう本になると滅法強い。紹介される短篇は全部で8篇。 2...

三代史研究会  『明治・大正・昭和30の「真実」』  の読書感想。

三代史研究会  『明治・大正・昭和30の「真実」』  文春新書歴史好きは古代史にロマンを感じる人が多いが、私は断然近現代史。なんとかのミコとか、ヒコとか言われたって全然実感沸かないけど、なんとかシゲルとかなんとかタロウの方がピンとくる。最近の事だし、それが現在の世の中に直結してるのが面白い。近現代となると、避けては通れないのが「戦争」。この辺はウソかマコトか微妙で解釈次第でどうにでも転んでしまうのが...

野坂昭如  『火垂るの墓』  の読書感想。

野坂昭如  『火垂るの墓』  新潮文庫※2007年8月に書いた感想です。8月お盆と来れば、終戦記念。テレビでしきりに特番やってて、すぐ感化された私。何か戦争を見つめ直す機会を、と思い読み始めたのが本書。ジブリ映画であまりにも有名になった表題作「火垂るの墓」の他、「アメリカひじき」「焼土層」「死児を育てる」「ラ・クンパルシータ」「プアボーイ」の短編6編で締めて233ページ。しかし、中高生が短編だから...

鈴木淳史  『わたしの嫌いなクラシック』  の読書感想。

鈴木淳史  『わたしの嫌いなクラシック』  洋泉社新書ものごとを「好きだ」と賛美するのは簡単。しかし「嫌いだ」と言うと、様々な波紋を呼び、厄介になる事が多い。私もクラシック・コンサート突撃録みたいなメルマガをやってるのでよく解るが、悪口に受け取られる(ズバリ悪評もある)文章を発表する時は、こう見えても気を使う。どうせならもう少し穏当な表現がないかナ。贔屓目に見て表現を換えれないかナ。こんな文章を発...

最近読んだ本の感想。その10

● 本体HP 更新しました。東野圭吾  「殺人の門」  の読書感想。http://www16.tok2.com/home/randokudt/doku13/doku267.html亀井俊介編著  「アメリカン・ベストセラー小説38」  の読書感想。http://www16.tok2.com/home/randokudt/doku13/doku268.html芥川也寸志著  「音楽を愛する人に」  の読書感想。http://www16.tok2.com/home/randokudt/doku13/doku269.html** 本・読書blog Ranking **...

南條範夫  『戦国若衆』  の読書感想。

南條範夫  『戦国若衆』  徳間文庫戦国期の稀代のかぶき者、名古屋山三郎を描いた痛快時代劇。いっそ、題名を「名古屋山三郎」としていた方が、よほど万人に関心を引いた事でしょうに、傾き者を強調したいゆえの題名なのだろう。本書もあっという間に読み終えてしまう面白さだったが、私の知らない人物が詳しく描かれている点でも、頗る知的好奇心を満足させてくれた。まず。名古屋山三郎。人物名は知っていたし、チャラチャラ...

山本周五郎  『おさん』  の読書感想。

山本周五郎  『おさん』  新潮文庫人情モノで、周五郎の「おさん」と、正太郎の「おせん」が良いそうだ、なんて読んだので、まずは周五郎の「おさん」を読んだ。全十篇470ページ程の厚目の短編集で、その中でも「おさん」は70ページ近い短編。玉石混交なごった煮な短編集で、「おさん」より良い短編もあれば、満州国で発行されていたという「ますらを」という雑誌に掲載された「青竹」という仮名遣いが不思議な作品まで収...

白石一文  『一瞬の光』  の読書感想。

白石一文  『一瞬の光』  角川文庫文庫本で589ページ、純文学です。しかし、これほど濃厚で濃密な「読書」を満喫できたのは、幸福な限り。ここんとこ「当たり本」に恵まれてますが、思いッきし期待して読んで、軽々と期待を跳躍するほどの感慨を与えてくれた本も珍しい。白石一文は「不自由な心」で滅茶苦茶カンドーして、速攻で彼の著作を(古本屋で)集めたのが2年前。文庫本化されているのはまだまだ少ないので大切に読...

黒川博行  『文福茶釜』  の読書感想。

黒川博行  『文福茶釜』  文春文庫これは文句ナシに面白い。読んで損どころか、この作家の本をドンドン読んで行きたくなるコト間違いない作品。古美術骨董の世界での、化かし合いの戦い。5編からなる短編集だが、関西を舞台にした古美術の世界が実に旨く描写されている。入札目録の図版差し替え、一幅の水墨画を薄く剥いで二枚にする相剥本という贋作造り、ブロンズ彫刻の分割線のチェック、仕入れにおける騙しのテクニック等...

最近読んだ本の感想。その9

● 本体HP 更新しました。石田衣良  「池袋ウエストゲートパーク」  の読書感想。http://www16.tok2.com/home/randokudt/doku13/doku264.html檜山良昭  「アメリカ本土決戦」  の読書感想。http://www16.tok2.com/home/randokudt/doku13/doku265.html東直巳  「残光」  の読書感想。http://www16.tok2.com/home/randokudt/doku13/doku266.html** 本・読書blog Ranking **...

神坂次郎  『今昔おかね物語』  の読書感想。

神坂次郎  『今昔おかね物語』  新潮文庫歴史を通じた「おかね」にまつわる話を集めた雑学本。この著者は和歌山県出身で、和歌山の話が若干多い。和歌山でどんな話があるの?って思うでしょ。意外とあります。まず、南方熊楠。明治の博覧強記、博物学の巨人ですね。他には高野山。高野山って奈良県のイメージがあったんですけど、和歌山県。お坊さんの不思議な世界もカネの話が出てきます。面白くて不思議に感じたのが「ロンド...

永井泰宇  『39』  の読書感想。

永井泰宇  『39』  角川文庫永井泰宇氏は初めて読んだ作家。永井豪の実兄という先入観だけで、本書をドタバタっぽいものと想像して読み初めてたので、驚いた。ちなみに永井豪の漫画は好きで無い。あの雑なタッチがどうにも好きくなれず、彼の作品群が一時代を築いた事に、時代の違いを感じる。それはさて置き、先入観を持って読み始めたが、これが驚きのサプライズ。現在2007年でも十分問題として残っている刑法三十九条...

宮部みゆき  『かまいたち』  の読書感想。

宮部みゆき  『かまいたち』  新潮文庫初期の時代物作品集。表題作「かまいたち」のほか、「師走の客」、霊験お初の基礎となる「迷い鳩」「騒ぐ刀」の全四篇。最初「かまいたち」から読み初めて、これは途中で放棄しちゃおうか、と思ったほどつたない内容で、読者の皆様もこの「かまいたち」は我慢して読むか読み飛ばしてでも後続の作品はお読みするコトをお奨めします。本書全体が最初期の作品を中心に集めているだけに、江戸...

ハインライン  『夏への扉』  の読書感想。

ハインライン  『夏への扉』  ハヤカワ文庫SFを代表する名作、ということで読んでみました。正直感想は、同じタイムマシンものなら、日本を舞台にした広瀬正の「マイナス・ゼロ」の方が面白かったかな、僅差で。こちらはコールド・スリープで未来へ行って、タイム・マシンで過去に戻って、それから・・・という内容。これだけ古典的名作になっていたら、ネタバレも大枠でなら許してね。この中で面白いなぁと思ったのは、投資...

東直己  『流れる砂』  の読書感想。

東直己  『流れる砂』  ハルキ文庫この作品を面白くなかった、とネットで書かかれているのは見たことない。そんれなのに、人それぞれの感想はあろうが、東直巳は未だに圧倒的人気作家とまではなれきれていない。ナゼだか不思議だが、本書は六百ページ超あるため、手に取る人が少なくなっていることは想像できる。しかし、これを読み始めたら、面白いのなんの、すっかり東ワールドに浸ってしまう。私立探偵畝原シリーズ第二弾。...

中沢けい  『海を感じる時』  の読書感想。

中沢けい  『海を感じる時』  講談社文庫幼いとき父を亡くし、素直に愛情表現ができない母と娘の二人暮らし。娘は県下でも有数の県立高校に進学、母はそんな娘を影では誇らしげに思っていた。しかし母の愛に飢えていた娘は、男に愛を求めてゆく。高校の新聞部、進学校はなぜか放任主義で、授業をサボったり遅刻したりしていた娘と新聞部の先輩が、衝動的に関係を結ぶ。先輩は責任を感じつつも愛が少ないコトを恥じて、娘から逃...

徳川宗英  『徳川家に伝わる徳川四百年の内緒話』  の読書感想。

徳川宗英  『徳川家に伝わる徳川四百年の内緒話』  文春文庫田安徳川家第十一代徳川宗英(むねふさ)氏による本。生まれとか育ちといったものが滲み出るような語り口。なかなかな事を書いている時でも、それを度ギツくならない不思議な文体。高慢でも尊大でもなく、柔らかい温かな語り口。江戸時代や徳川幕府の話が好きな人には、聞いた事ある話が多く詰まらないが、徳川家の裏話をこれから知りたい人には好材料。私は子供の頃...

海音寺潮五郎  『蒙古来たる』(上下)  の読書感想。

海音寺潮五郎  『蒙古来たる』(上下)  文春文庫鎌倉時代の元寇を基本とした伝奇小説。北条時宗もしっかり活躍するのだが、基本は聞いた事もない(架空?の)人物が大暗躍。それでいて元寇の流れはしっかり掴めるから、大法螺奇想天外ストーリーでもない。されば面白かったか、と問われれば難しい質問。文春版では分厚い上下二巻、古本の角川版では薄い本で全四巻。海音寺の大長編を読みきったぁ、という海音寺ファンとしては...

広瀬正  『マイナス・ゼロ』  の読書感想。

広瀬正  『マイナス・ゼロ』  集英社文庫かつて丸谷才一編集による「私の選んだ文庫ベスト3」という本を読んだ。各界本好きな著名人に、これがベスト3だという入手可能な文庫本3冊を選んで貰うという趣向。  丸谷才一編  『私の選んだ文庫ベスト3』  ハヤカワ文庫  http://www16.tok2.com/home/randokudt/doku8/doku158.html  この本の良かった点は、各人の本音が垣間見れた点。一冊は自分の仕事を決定付けた一...

宇神幸男  『消えたオーケストラ』  の読書感想。

宇神幸男  『消えたオーケストラ』  講談社文庫宇神氏の音楽ミステリー全4幕のうち第2幕。前作「神宿る手」の登場人物が、またまた大事件を起こす。前作ではかなり気負った所だらけでしたが、今回はブラ2のように肩の力が抜けて、サラリと書かれていつつ、結構楽しめた。書名を見ると、18世紀頃まで実在した欧州のオーケストラがどのような事情で楽団解体したのか、なんて風にも想像できるし、そんな本があったら是非読ん...
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