バイトの労働条件

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田辺聖子  「セピア色の映画館」  の読書感想。

田辺聖子  「セピア色の映画館」  集英社文庫こう言っては非常に失礼なのだが、どうせ年寄りの「昔の映画は良かった」評伝だと思って読み始めた。しかし、確かにそう言う面もないでは無いが、昔と今を比べるのではなく、いかにあの作品が素晴らしかったかを切々と伝えてくれる気迫に溢れている。映画が大好きで、観まくった人ならではの映画への溢れる思いがひしひしと伝わってき、あまり映画を観ない私も、これなら観て観たい...

吉田秀和  「音楽 展望と批評2」  の読書感想。

吉田秀和  「音楽 展望と批評2」  朝日文庫1974~1977年の音楽評論集。リアルタイムでショスタコが死んだ時の文章が出てきたりして、時代を感じるが、クラシック界の諸事情は30年前と差して変わってないようだ。数多くのクラシック音楽評論家が巷には溢れているが、最も支持され尊敬されているのが吉田秀和ではないだろうか。そういったナンバー1は嫌いな私も、彼の気品溢れる中にも確固とした信念と毒針が隠され...

ペック  「続・豚の死なない日」  の読書感想。

ペック  「続・豚の死なない日」  白水ブックス名作の続編は駄作が多いと思うが、本書はあの名作はこの傑作の為の前座だったのか、と思わせられる見事な出来映え。そもそも外国文学は翻訳の稚拙さもあって苦手な私ですが、これはムシャムシャ読んだ。この健気で不幸の連続な少年がどうなってしまうのか。いつでも弱者は試練ばっかりで、神も仏も無いに決まってる。挙句の果てには、神に愛されすぎたから早く召された、なんてい...

山本一力  「あかね空」  の読書感想。

山本一力  「あかね空」  文春文庫何度も何度も目頭が熱くなる人情時代小説、町人もの。第126回直木賞受賞作だけあって、多くの人がこの作品の素晴らしさを喧伝していることでしょう。もちろん既読の方も多く、いまさら何を、とお思いでしょうから、今回は私ならではの見方でひとつ。現代人からしてみれば「迷信」ほどバカバカしいものはない。そうはいっても、正月早々ケチがついただの、初夢は何だったの、しっかり気にし...

宮武外骨  「明治奇聞」  の読書感想。

宮武外骨  「明治奇聞」  河出文庫宮武外骨(みやべ・がいこつ)と読むが、驚くことに本名。我が児を「がいこつ」とは、凄いネーミング。大杉栄の長女は「魔子」だったそうだから、昔も名前は凝っていたのか。最近の子供の名前は、想像を絶しているからね。外骨は大正時代、敢えて明治を研究した人。いまの平成の我々が三丁目オールウェイズなどと懐かしんだり懐古したり、似ているのかも。しかし明治ほど日本が大回転した時代...

出久根達郎  「古本奇譚」  の読書感想。

出久根達郎  「古本奇譚」  中公文庫古書界から出た直木賞作家。古本好きとしては、一目置かざるを得ない人物。古書店店主。本書は昭和五十年代に発表された短編・エッセイを中心に編まれたもののため、古書界も風景もいささか古くて懐かしい。こういったものがあと十年もすれば三丁目オールウェイズの世界になるんだから、私も歳をとったなぁ。古本屋を中心に、古本や古書、その周りの人々のエッセイが中心だが、中盤百ページ...

帚木蓬生  「閉鎖病棟」  の読書感想。

帚木蓬生  「閉鎖病棟」  新潮文庫ショッキングな少女のプロローグが始まったかと思いきや、全く別の違う年代・時代・環境のエピソードに話は飛ぶ。何だか良く分からないながらも、ひとつひとつのエピソードは面白く、短い小話の積み上げかと思いきや、いよいよ本題に入って行く。様々な感想でも述べられている通り、この後は「閉鎖病棟」の日常が長く語られ、あれれと感じる。しかしここを味わって読めば、後半の展開がぐっと...

立原正秋  「たびびと」  の読書感想。

立原正秋  「たびびと」  文春文庫かつて最も好きな作家を「立原正秋」と選んだ選者が、「立原正秋のベスト1」として挙げたのが、本書。古本屋で見つけたので、迷わず買っておいたのだが、このたびようやく読書の運びとなりました。173ページ。五十前後の美術系著作家と、子をなしながら早々に離縁された従順な女との不倫話。先の無い愛の末路と、泥沼化を避けるべく著作家が選ぶ道と苦しみ。全編は洗練された日本美学に統...

岡部昌幸  「迷宮の美術史 名画贋作」  の読書感想。

岡部昌幸  「迷宮の美術史 名画贋作」  青春新書かつて黒川博行の「文福茶釜」を読んだおり、贋作の世界をミステリとして堪能した事があった。そもそも犯罪小説やピカレスクロマンが好きな私は、美術界の犯罪も嫌いなはずが無い。母の絵画好きの影響で、私も鏑木清方などの日本画を中心に絵が好きなのです。しかし美術品そのものを尊ぶ心は良いとして、それを金儲けの種に蠢く輩が、一泡吹かせられる話ってのは、痛快じゃあり...

荒俣宏  「図像探偵」  の読書感想。

荒俣宏  「図像探偵」  光文社文庫読書とはかなり違うかもしれない。博物学マニアの、著者コレクションの薀蓄を味わう一冊。主に欧州中心に蒐集した百点以上の図像(古書にある挿絵や図画)を採り上げ、ああだこうだ書かれている。巻末には「推理する」とあるが、「推測する」といったもので、それ自体はあまり面白くない。ただし選出された図像は目を引くものばかりで、一見の価値はある。こういった文庫はすぐに絶版となるの...

鷺沢萌  「失恋」  の読書感想。

鷺沢萌  「失恋」  新潮文庫「欲望」「安い涙」「記憶」「遅刻」の4編からなる短篇集212ページ。  全体を統一して「失恋」と題しているが、各編は独立した話。第1編「欲望」が約百ページと最も長いが、一番面白かったのはラストの強烈な仕返しが衝撃的な「記憶」。あっという間に読んでしまえる面白さで、返す返すも彼女が亡くなったのが残念だ。第1・2編はかなり泣かせようといった魂胆が透けており、少し私には駄目...

最近読んだ本の感想。その11

● 本体HP 更新しました。山田風太郎  「地の果ての獄」 (上下)  ちくま文庫http://www16.tok2.com/home/randokudt/doku13/doku270.html猿谷要  「物語アメリカの歴史」  中公新書http://www16.tok2.com/home/randokudt/doku13/doku271.html東海林さだお  「キャベツの丸かじり」  文春文庫http://www16.tok2.com/home/randokudt/doku13/doku272.html** 本・読書blog Ranking **...

立木信  『若者を喰い物にし続ける社会』  の読書感想。

立木信  『若者を喰い物にし続ける社会』  洋泉社新書老人に対して、ものすごい怨みでもあるのか?とにかく猛烈な勢いで、現代社会を暗黒にしてしまったシルバー世代への怨恨の詩。著者は1963年生まれなので、若くも無いが、初老にも早すぎる。このまま行けば本当に年金がおかしくなる(貰えなくなる)第一世代かも知れず、その心配は人一倍の世代なのかもしれない。相当激烈な「煽る」文章。読んでいて、なんだか危険なも...

渡邊學而  『大作曲家の知られざる横顔』  の読書感想。

渡邊學而  『大作曲家の知られざる横顔』  丸善ライブラリー私の読書感想をご覧の皆さん、私の感想度合いを、どのように測ってらっしゃるでしょうか?「この本はメッチャ面白い」「この作品は駄目だ」いろんな表現をしてきましたが、正直、私が心底面白いと思った時は、迷わずその著者の本を探しまくります。ある意味、これはもう趣味です。現時点、そうですねぇ、我が家には読んでいない本「読まれ待ち本」が千冊以上あるんで...

藤沢周平  『橋ものがたり』  の読書感想。

藤沢周平  『橋ものがたり』  新潮文庫江戸の様々な「橋」を舞台に、庶民の悲喜こもごもを描いた市井モノの傑作。全十篇、約330ページなので、一篇一篇が読み易く、それでいて心憎いドラマがこれでもかと詰め込まれている。十篇のどれかには必ず涙腺を攻撃される作品が、あなたにもあるはず。新幹線で数時間、必ず退屈しないで過ごしたい、なんて人に最適な一冊。わたくしお得意な「ケチ」を強いてつけるとするならば、この...

山田風太郎  『同日同刻』  の読書感想。

山田風太郎  『同日同刻』  文春文庫副題の「太平洋戦争開戦の一日と終戦の十五日」が示すとおりのドキュメンタリー。多くの作家や政治家、庶民から軍人まで幅広い日記や記録物を集め、時系列的に出来事を書き写し並べてゆく。合い間に入る風太郎の注釈が冷静で、一つ一つの事実の羅列がこれほど重く連っていく日々は、過去にも未来にもそうはないだろう。風太郎と云えば伝奇小説だが、こういった使命感に駆られたような作品に...

三浦展  『下流社会』  の読書感想。

三浦展  『下流社会』  光文社新書2年前の話題本を、今頃読んでます。(※2007年9月に書いたモノです)題名から何となく想像できるとおりの内容でした。とは言っても、何ゆえ下流所得層が増えてゆくのか分析や検証をしているので、読んでみても損しません。半日ほどで流し読み出来るから、図書館や古本屋でサラっと読むには持ってこい。それでいて、これから確実にやってきそうな下流社会の構造がわかるから、なかなかイ...

S・キング  『シャイニング』(上下)  の読書感想。

   S・キング  『シャイニング』(上下)  文春文庫世間で言われているほど、面白くなかったよ!映画「シャイニング」の有名なシーン、斧で斬り裂いた隙間からニヤァっと笑って横目で見るジャック・ニコルソンの顔が忘れられなくて、本書を読んだのに。上下2巻、八百ページを越す長編ですが、下巻中盤まで読むのが実に辛かった。最後の最後は、ホテルに取り付かれた夫から逃れ続けるハラハラ・シーンなので流石にサラサラ...

柘植久慶  『首都直下地震〈震度7〉』  の読書感想。

柘植久慶  『首都直下地震〈震度7〉』  文春文庫あっという間に読んだ。読み始めたらキリが無く、ふんふん、なるほど。詳細な起こりそうな小さなエピソードを散りばめ、東京各所での様々なアクシデントがパッチワークのように綴られていく。全7章に分けられており、地震発生から一週間後までが語られる。決して大袈裟な展開で無いのに、それくらい起こるだろうな、といった恐ろしい進展が続く。章の途中で早々に焼死・圧死す...

唐沢俊一  『世界の猟奇ショー』  の読書感想。

グロテスクばっかり詰まった漫画本。ここまでグロい内容だけの文庫本は、これ以上ないだろう。途中で延々と続くグロ話一辺倒に飽きてきたが、唐沢俊一本は全冊読破目標なんで、なんとか完読。雑誌の一コラム的に、十ページ足らずの野次馬根性満喫グロ漫画が載っている分には、ああ今週号もグロかった、で済むけど、それを一冊にまとめてしまうのだから、読んでいるとヘンになってくる。この感想文を読んだあなた方に、多少は興味を...
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