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芥川也寸志  「音楽を愛する人に」  の読書感想。

クラシック音楽な本
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芥川也寸志著  「音楽を愛する人に」  旺文社文庫

芥川也寸志著  「音楽を愛する人に」  旺文社文庫


独特の惚(とぼ)けた文体が何とも言えぬ良さがあり、旨い文章だなぁと
感心する事しきり。
当人は芥川龍之介三男の肩書きを酷く嫌っており、
その肩書きと悪戦苦闘する半生だったと述懐しています。
しかしそんな苦労も報われてますよ、あなたの文章は非常に良い。
着想も着眼も独特で、すっかり魅了されましたから。

全百曲のクラシック名曲を各曲2ページで漫談。
楽曲の背景を丁寧に述べている事は少なく、いつも何気ない話から
スルスルと楽曲に迫ってゆく。
どの曲にも非常に関心を起こさせ、うまい話術と言うほか無い。
作曲家、指揮者として活躍した著者ですが、テレビなどでも司会者としても活躍。
そんな経験がフルに活かされています。

残念なのはそんな面白い本書が、「旺文社」文庫なこと。
この文庫には名作がてんこ盛りなのに、文庫そのものが廃版。
文庫総体を買い取って、秀作だけでも再販する文庫が出て来ないかなぁ。

古本ファンとしては、そんな希望者多いと思うんだけど。
池袋の古本屋さんなんて、旺文社文庫だけで一角のスペース取ってたし、
値段も定価並だったもんなぁ。
ちなみに本書はブックオフでゲット、百五円。
その後も時々、ブックオフで見かけますんで、
どうしても読みたい気持ちがあるなら、
いつの日か見つけられるでしょう。

さて、本書は名曲百曲を紹介しておりますが、面白かったエピソードを一つ。
著者が、ショスタコーヴィチとインタビューを行なった時のエピソード。
現代の我々には羨望の限りだが、ソ連音楽に関心が高くソ連に
何度も行っていた著者ならではの企画だったのでしょう。
インタビュー時のショスタコのナマの言動が述べられており、
ショスタコのウィットに富んだ?対応振りが語られています。

ある注文の多いカメラマンがインタビュー時のツーショットを撮ろうとします。
ただ微笑んでいるだけでは芸が無い、会話している状態を撮りたいと所望。
しかし双方、通訳を通じて会話しているので、二人が同時に話している訳
ではなかった。

そこでおもむろにショスタコは話し出した。
「十六、十七、十六、十七、十六十七、・・・」
芥川也寸志も「なるほど。そんならこっちもこっちだ、かまやしねえ。」
「桃から生まれた桃太郎、桃から生まれた桃太郎・・・」
  
芥川也寸志とは、こんな人です。
今では神様みたいな存在になっているショスタコに、こんな切り返しを
するなんて、日本人ここにあり、という気持ちで清々しい。
ショスタコに会って見たかったなぁ・・・。


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