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柏倉康夫  「ノーベル文学賞」  の読書感想。

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柏倉康夫  「ノーベル文学賞」   丸善ライブラリー

柏倉康夫  「ノーベル文学賞」   丸善ライブラリー


丸善ライブラリーという新書シリーズがある。
この弱小新書は無名で、取り揃えている書店も数少ないが、
アマゾン等では購入可能なので、是非注目して下さい。
このメルマガでも、過去採り上げた渡邊學而著「大作曲家の知られざる横顔」が
丸善ライブラリーであり、かつ良書だったので、きっと編集部門が優秀なのでしょう。

さて本書は東大卒NHK勤務でパリなどの欧州中心に廻っていた
エリート・ジャーナリストが、NHK解説主幹時代に執筆したもの。
その後著者はNHK退職後、京大大学院教授、放送大学教授を歴任、
有り余る名誉と退職金を勝ち取り、こういう人生もあるのだなぁと臍を噛む。

しかしそういった僻み根性を以って読んでも、本書は面白い。
「ノーベル文学賞」そのものの歴史と傾向といった趣向で、賞は有名だが
一体どんな作品や作家が受賞しているのか文学史の流れに乗りながら識れる。

二百ページ足らずの紙幅も影響して、ノーベル文学賞と云う長い歴史の
ダイジェスト版ではあるが、要点が適度に抑えられているし、それでいて
著者が強いフランス絡みは力点が置かれて掘り下げてあったりと、
なかなか心憎い出来映え。

もちろん我らが日本人川端康成の受賞エピソードや、NHK記者ならではの
裏話もあり、残念ながら面白い。
本書を読むと日本人作家一辺倒の人も、さすがに世界の作家への関心も
高まるし、どこから手をつけていいのか見えてくると思う。

残念なのは執筆時期が平成4年のため、1991年までのデータでしか語られていない事。
その後二十年も経っているわけだから、続編もしくは改訂版が出たって良い頃だろう。


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