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南條範夫  「剣士流転」  の読書感想。

南條範夫
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南條範夫  「剣士流転」  上下   徳間文庫    南條範夫  「剣士流転」  上下   徳間文庫

南條範夫  「剣士流転」 上下   徳間文庫


徳川の草創期、多くの大名が改易された。
関ヶ原が終わり、政権握れば用無しはお払い箱か!
子供の頃私は、こういった徳川の非情さに腹が立った。

しかし徳川幕府の大名改易本を多く読むにつれ、
なぜあれ程までの改易が成されたのか解かる。
闘いには有力な武闘派は、合戦でこそ最大限の戦功を
立てられるが、その多くは乱暴者の命知らず。

突撃や体当たりは秀でていても、戦が終わって
平和が訪れてくれば、出来る事がなくなったのだ。
領民を慰撫し、河川工事も万全を期す。
経済にも気を使って領土の活性化も忘れてはいけない。
平時の人事こそ不満が募るもので、信賞必罰、
退屈な毎日に飽いた武士たちのガス抜きも忘れてはならない。

それらを機敏に察知し治世を施すのが、
嘗ての荒くれ者だった大名の手に果たして出来るのだろうか。
優秀な家老や奉行に恵まれた平凡な大名なら
御家安泰を全うできたが、大名本人が酒色の溺れたり、
部下の中に戦国期の気風を忘れられない者が
残っていたりすると、本書・加藤明成家みたいな
お家騒動に発展してしまうのである。

徳川初期は鬼であったが、ギリギリまで大義名分にも配慮していた。
隠密を数多く派遣し、これはという外様大名や有力親藩へ
情報収集を欠かさなかった。

失政や領民不満といった小さな不祥事を丹念に集積し、
治世不行き届きとか藩主乱心として改易・減封してゆく。
本書の加藤家改易(実際は会津40万石から、
最終的には近江水口2万石)は、こういったどうしようもない
ボンクラ2世大名と戦国を忘れられない傲岸不遜家老堀主水との
対立を描きつつ、お家騒動に翻弄される家臣団を中心に描いている。

主人公は家老堀主水の家臣、神道流達人の剣士である
五百江修太(いおえしゅうた)。

その妻女が途方も無い美女だったために事件が事件を呼び、
そこへ堀主水のお家退散が絡んでゆくというストーリー。
上下二巻と少し間延びした話と上巻では思ったが、お家退散した後、
まさに剣士流転(浪人生活)になり出したところ(下巻)から
俄然本書は面白くなってくる。

加藤家改易を狙う幕府老中の動きや、五百江修太妻女の美貌に
人生を狂わされてゆく男たちが卍巴のように話は混濁してゆく。

ラストは明快でも爽快でもなく、苦汁と虚無に満ちた終わり方に渋いなぁ
と思いつつ、主人公にはもう少し救いのあるラストを用意して欲しかった。


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