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桐野夏生 「柔らかな頬」上下 の読書感想。

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桐野夏生  「柔らかな頬」上下  文春文庫 桐野夏生  「柔らかな頬」上下  文春文庫

桐野夏生  「柔らかな頬」上下  文春文庫


久々に、読書に熱中した。
ちょっとの時間でも先が読みたくて、
1分でも2分でも時間があれば読書した。

平成11年上期の直木賞受賞作。

文庫本で上下2巻、六百数十ページ。
でも、数日で読めちゃうよ。
上巻はミステリ満載、下巻は文学的な魂の彷徨いが描かれていく。

ストーリーとしては上巻が面白いが、
これだけだったら人気ミステリの範疇だったろう。
下巻があってこそ、直木賞に選ばれた。
ちょっと文学しているのが癇だけど、面白さがそれを上回った。

北海道の寒村出身の女性主人公は、
高校卒業と同時に大嫌いな故郷と両親を捨てて家出する。

一人上京(専門学校に進学)した彼女は、
現実的な苦労(親の仕送り無し、バイトと学問の両立など)を重ね、
零細企業の経理担当となり、主に気に入られて奥さんに納まる。

二人の娘にも恵まれささやかな幸せに落ち着きたいところだが、
零細企業と斜陽業種のため前途は暗い。

そんな時、最重要な取引先と不倫関係に陥り、罪悪感を感じるどころか、
子供さへ捨てたって構わないとまで男に溺れ切った頃に、事件は起こる。

不倫関係の二人は、それぞれの家族と一緒に、
北海道の別荘へ集合する。

今後も正当に逢引できる理由をつくるために、
北海道の別荘に集まったのだが、ここで忽然と
小さな娘が行方不明となる。

不倫モノかと読んでいたら、誘拐モノ、捜索モノだったんですね。
ここからはもう大変な話ばかり・・・。

行方不明児を血眼に捜す女性、もう不倫どころじゃない。
不倫関係は勿論のこと、夫婦関係も悪化するばかり。
夫、不倫相手の男、そしてその妻。
それぞれの思惑は交差し、女性は北海道へ渡る。

後半に語られる意外性が、行方不明の真相。
主要人物たちは夢とも奇跡ともつかぬような現象を視てゆく。

幼女が消えてしまった原因を、神秘体験のように感じてしまう。
何年間も、繰る日も繰る日も娘を捜すうちに、
夢想だにしない世界を見たのか、単なる妄想の果てなのか。

しかし、さもありなんという可能性が数パターン、作者は読者に提示する。

そのどれもがありえない可能性を孕んでおり、
一個一個確認すればいいのに、登場人物たちはその奇跡に慄いてしまう。

結末は「結末は自分で考えてください」
パターンなんですが、不条理に感じることもなく、
ただただ親のエゴで消えてしまわねばならなくなった娘さんが、
痛ましい限りだった。



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