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南條範夫 「燈台鬼」 の読書感想。

南條範夫
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南條範夫 「燈台鬼」 文春文庫

南條範夫 「燈台鬼」 文春文庫


直木賞受賞作「燈台鬼」と、受賞までの最初期の歴史短編を集めた初期短編集。

・燈台鬼・・・・・・・・・・S31年
・「あやつり組」由来記・・・S30年
・畏れ多くも将軍家・・・・・S29年
・水妖記・・・・・・・・・・S29年
・不運功名譚・・・・・・・・S28年
・子守の殿・・・・・・・・・S28年
・文庫のためのあとがき・・・S58年

南條ファンとして特筆すべきは、著者自らの「あとがき」。
著者の作家なれそめや考え方が、真っ裸に書かれている。

「歴史ならば、こちらも知らないが、読者も大して知りはしない。
勉強さへすれば何とかなるだろうと考えたのだ。事実、よく勉強した。」

あれほど歴史ものを書きまくった著者が、そんな発想で書き始めていたとは。
ただし忘れてはいけない、彼は東大を法学部と経済学部を卒業し、
満鉄経済調査部を経て、国学院大や立正大の教授をしているガチガチの
経済学者でもあったことを。

こういう学者が言う「知らない」というレベルは、「熟知していない」ということを。

著者が学生時代読んだ「宝物集」という説話集、
6~7行の小文から直木賞受賞作「燈台鬼」を創ったそうな。

しかも、それまでの短編5編は全て懸賞に応募し、全て受賞している。
小説投稿はカネのためと嘯き、四十代から書き初め、出せば受賞、
あげくは直木賞。

以後は月産五百枚以上の流行作家。しかしそれは大学教授の余芸だった。
そんなんだから、遼太郎や周平や正太郎のような大歴史小説家に
なれなかったのだが、それでも私はこの南條が圧倒的に一番好きだ。

この初期短編集からして、のちの南條のお家芸、残酷モノの片鱗が
プンプン臭ってくる。

「燈台鬼」は、遣唐使で唐に渡った男の悲劇。
皇帝拝謁の席順で他国と揉め、恨みを買った主人公は襲撃される。
身動きの取れなくなった男は、声を潰す薬を飲まされ、
恐ろしい雑技団に、拉致される。そして、そのまま消息を絶つ。

父を失った幼き息子は、それから三十年後、苦労して
次の遣唐使メンバーに選ばれ、父が行方不明となった唐で父を探す。
きっと、父は生きているはず、でもどこに・・・。

結局、父は生きているのだが、その残酷な結末は胸糞の悪くなるような顛末で、
現代の直木賞なら、選ばれることはないだろう。

他の多くの短編も、残酷な結末が待っており、
南條は、元々こういう物から始まったのだなと改めて感じた。




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