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海音寺潮五郎 「茶道太閤記」 の読書感想。

海音寺潮五郎
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海音寺潮五郎  「茶道太閤記」  文春文庫

海音寺潮五郎  「茶道太閤記」  文春文庫


  ひつさぐる
  わが得道具の
  一つ太刀
  今、この時ぞ
  天に抛(なげう)つ
  
  人生七十力囲希 (じんせいななじゅうりきいき)
  咄々吾這宝剣   (とつとつわがこのほうけん)
  祖仏共殺      (そぶつともにころす)
  
私の三大作家のひとり、潮五郎です。
上記は千利休の辞世で、短歌に興味の無い私にも
ググッとくる詩なので紹介してみました。

現在も表千家・裏千家というかたちで、
現代に存続している千家初代の利休と太閤秀吉の確執を、
女達の(政所ねね派と淀君派)戦いを絡めてストーリーは進む。
歴史というものは、表裏一体でどちらが正、どちらが邪というのは少ない。

それぞれがそれぞれの立場と考えで行動した結果が歴史となっていく。
本書では秀吉の気持ちも、利休の意地も双方巧妙に描写されていて、
こういった苦難を乗り越えて現在の「お華」の世界があるんだなぁと感心。

本書は世情不安定になってきた昭和15年に東京日日新聞にて連載。
WWⅡ開戦前年にあたる時代によくぞ執筆発表できたなと思う。
終盤では、家康の依頼を受けて利休が秀吉に「朝鮮出兵諫言」する件(くだり)がある。
いくら利休が秀吉へ諫言した形を取っているとは言へ、当時の社会では
著者への圧力が相当なものだったのだろう、というのは想像に難く無い。

結局、利休は戦争反対を秀吉に諫言することで、耄碌のはじまった秀吉の
激怒を買い、死を賜るのだが、著者の時代への痛切な批判が感じられる。

それはまた、秀吉(軍部)を恐れて出兵(戦争)を諫言(反対)できない
多くの大名(当時のマスコミや大衆)への、強烈な面当てでもあった。

潮五郎の作品は、大きく二筋に別れており、一つは史伝小説、もう一つは歴史小説。
後者である本書は、会話文も多く読みやすい。
太閤記の裏側を知るには、非常に面白い一冊です。


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